登壇者
京都の老舗宇治茶農家10代目社長(京都 宇治の碾茶農家10代目)の清水たいしさん(2016年春卒、27歳)、
インドの伝統的な紅茶事業の次期社長のNikhil Kumar Mantriさん(2016年秋卒、25歳)、
一般社団法人Nukumo 創業者 山田あきとさん(2016年秋卒、27歳)
1月16日(土)計37名のAPU学生(内13名は高校生)の皆さんを対象に
「お茶」の世界から見た「D2C」と「SDGs」についてお話をしてもらいました。
事前参加者の質問から、就活やAPU生活に関する内容が多いですが、
コロナ状況下で悶々とした世の中で輝かしく、活き活きとした人の姿を見て
「世の中捨てたもんじゃない」そういう希望を持って欲しいな。
少しでもいい時間になればと思い、開催に至りました。
プレゼンとパネルディスカッション、質問で2時間にも及ぶ内容なので、
わかりやすく要点のみ上げさせてもらいますね!
Please kindly refer it ////
※表現は許可をもらった上で編集者が意訳しています。
(1): プロファイル
(2): お茶業界の現在
(3): What brings you to APU??
(4): よかった気づきと後悔してること
(5): これから
(1):プロファイル
(参加者の皆さんに伝えたいメッセージ)
自分の気持ちに正直に生きよう。やりたいことで生きていくためには、やりたくないこともやりたいこと以上にやる必要がある。
そのために何が大事かを見極めてほしい。だからいろんなことを通して物事の本質を見る目を養うことが大事! By たいし」
「自分なりに課題を発見し、いろんな人を巻き込みながら、目の前の問題を乗り越えていくこと。
色々方法はあるが、一つ、信じて結果が出るでやり続けること。そうすると道が拓けてくる。諦めないで頑張ってね! 」 By ニキル
(2):茶業界の現在
〜インドと日本、場所は違えど、抱えている問題は同じ〜
たいし
もちろん大変なことは他にも色々あるけれど、一つ挙げるとすれば、
「流通しているお茶のほとんどはブレンドされているものであるということを大半の人が知らないこと。」
「合組」というブレンド技術があり、勿論ブレンドにはブレンドの良さがあるけれど農家が作ったシングルオリジンの存在ももっと知って欲しい。
味、価格、ブランド、生産者が関与しきれない事が多くあって、
例えば「宇治茶・宇治抹茶」は宇治市内で取れていなくても「宇治茶・宇治抹茶」だと表現できる定義があったり、、。
ちなみに単一品種:合組(ブレンド)の割合は単一品種が約1%で(ブレンド)は約99% 。手摘みか機械摘みかもそれくらい。
産業構造を変えることでブランド価値のアップデートを行うことが重要で、
だからこそ、例えば、本物を消費者に直接届ける試みがあったりする。
シングルモルトのウイスキーやワインには違いがあって価格も選べるのに、
お茶にもそういう多様性があっても面白いんじゃないかと。。。
ニキル
SDGsの観点からすれば、(特にインドの場合)労働環境然り、温暖化が進んでいて、
気温や雨量の観点からしても、確実にお茶の栽培環境が悪くなっている。
例えば、農薬を使う事自体、短期的に見れば必ずしも悪いことではないかもしれないけど、
長期的に見れば土や地球に影響があったりする。最近は「バイオダイナミック」という考え方もあって、、
とにかく地球に優しいものづくりを通して次世代に何が残せるのかを考えて行かないといけないと思う。
(3):そもそも何故APUを選んだのでしょうか。
たいし
10代目として生まれると言うことはすごく稀だと思うし、長男としてそれを継ぐのかなと言う感覚はずっとあった。
「生まれた時から当たり前のように飲んでいた美味しいお茶」をどのように世界に広めていくのか。を知りたかったからかな。
日本人は「ブランド」そのものを好む傾向があるように思うけど、例えば欧米諸国では表層的なものでなく、ブランドやその物事の裏側にある物語を知ろうとしている。
小さい頃からそういう印象を持っていたが、単純に、いろんな世界が蠢くAPUで、
「日本茶」というものがどのような目で見られるのか純粋に知りたかった。
ニキル
自分も幼少期の頃から、茶農家に生まれ育った環境に受けている影響が大きくて、
例えば、うちの場合は作って売るだけじゃなく、その人たちやその家族の生活もかかっている。
そういう「大きなものづくり」の周りには、学校や街、生活環境生まれるわけで、、。
将来、そういう事を大規模で経営や運営をしていくことを考えると、APUという一つのプラットフォームでいくつもの多様性を知れるのは当時、とても魅力的に感じた。
・実際、APUはどうだった?
たいし
いろんなことを経験して知れる感覚が楽しかった。
最初はめっちゃ勉強するつもりで入ったけど、実は、高校時代、バリバリのスポーツ校のサッカー部出身で、そこで日本一を目指していたんだよね。「全国大会」というものに漠然とした憧れがあって、1番になりたい、そして実際にその景色を見たいと思ってた。結局、そこで夢を叶えられなかったのだけど、、、。
まぁ、そういうこともあって、諦め切れずに入ったデルフィーノ(フットサルサークル)にのめり込んでしまった。
結果的には3年連続全国大会出場、2年連続で全国3位で、「日本一」という目標は達成できなかったけれど、それでもキャプテンとして多様な人をまとめたり、踏ん切りがつくまでやり切った感覚を得れたのは大きいなと思う。
そこで自分の中で消化し切れたというか、心から満足できたかな。
ニキル
最初は目的があったけど、実際は本当にローラーコースターみたいな生活で、当時なかったインドウィークを立ち上げたり、日本テレビの「ダーツの旅」とかで通訳として仕事したり、大分のITベンチャーインターンでイスラエルやドイツにいかせてもらう機会もあった。
とにかく色んな事に挑戦していく中で、「選択肢、お茶だけじゃないじゃん」と思った。そんな自分を見て、「幅広く世界を見てきなさい」とお父さんも背中を押してくれたし、どんな業界にも学べることがあった。
その延長線上に今がある。人の幅は経験と知識の量の差で決まる。
その時はどこに進んでいるかわからないこともあったけど、振り返ってみたら、かなり視野が広がったよ。
・よかったことと後悔していることは?〜なんと2人とも一緒(笑)
たいし&ニキル
いいことは「遊びすぎたこと」。悪かったことは「遊びすぎたこと‘。
毎日、これ以上遊べないと思えるくらい遊んだが、社会人になって気づいたのは、「学生時代の時間の有り難さ」24時間平等なんだけどその時間で何をするか。選択が大事。
もっと勉強しておけばよかったと思う。
当時の座学が必要かどうかを社会に出ていないのに勝手に必要ないと判断してしまったなんてことも、、、
俺らが学生の頃に先輩が言ってたけど、学校の外で学べることも多いけど、クラスからも学べることは本当に多い。
同じ時間で同じ学費が発生するなら貪欲に学べばよかった。朝学校に行って勉強するとか、決めたことをきちんとすることも大事。
仕事もそうだけど濃度の濃い時間の過ごし方。
(5):2人のこれから〜伝統は壊す人がいるから、伝統たり得る。革新だ。〜
たいし&ニキル
お茶は土や木によっても味が変わる。「ブレンド」もカテゴリとしては必要なカテゴリだけど、混ぜてしまう事で、本来あるべき「多様性そのもの」が死んでしまうこともある。農家ごとに、シングルオリジンでその繊細さを楽しんでもらえる世界を創りたい。
既存の関係性が崩すことによる業界全体の弊害もあるかもしれないけど、価値を次の世代に引き継いでいくためにはチェンジメーカーとして、生産者として、根底からこのピラミッド型の産業構造をひっくり返したい。そのための手段の一つがD2C。
生産するだけでなく、売る側にもなる。自分のブレンドを作って、高付加価値を提供する。
適正価格で、生産者の思う価値を届けられる世界を作っていきたいと思います。
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